退職理由の上手な伝え方は?円満退職のための伝え方をケース別に解説

転職

仕事を辞めるときに必ず聞かれるのが、「退職理由」。どのように理由を伝えるべきか悩む方も多いのではないでしょうか。退職理由は、「人間関係」「給与等の待遇面の不満」「体調不良」「結婚」など人によってさまざまですが、伝え方次第で印象が異なり、円満に退職手続きを進めることができるかどうかに大きく関わります。

そこで今回は、会社ともめることなくスムーズにいく退職理由の伝え方をご紹介します。退職の話を切り出すのは勇気がいりますが、ポイントをおさえて、スマートに退職手続きを行えるように準備しましょう。

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仕事を辞める理由をどう伝えるか?

退職理由は伝え方によっては、強く引きとめられたり、印象が悪くなってしまったりすることもあります。もめることなく円満に退職するためには、誠意をもって伝えることが大切です。しかし、本音を言いづらい時には、嘘をついても良いものでしょうか?

本当のことを言いづらい時、嘘と建前の違いは?

退職理由は人によってさまざまで、「給料が低い」、「人間関係で悩んでいた」など、本当のことを言いづらいといったこともあるでしょう。

このような場合は、「理由をそのまま伝えない」ことが重要なポイントです。
ただし、だからと言って「体調不良」や「結婚」など事実とは異なる嘘をつくのはオススメできません。

嘘はいずればれますし、新しい転職先が、今の会社の取引先になるなど、どこでまた繋がりが出てくるかわかりません。可能な限り印象悪くせずに退職できるよう、前もって伝え方を考えておきましょう。

本当のことを話すと角がたってしまったり、引きとめにあったりすることが考えられる場合は、本音と建前をうまく使い分けることがポイントです。

【参考例】

  • 給料が安い(本音)→給料の高い仕事をしたい→新しい仕事にチャレンジしたい(建前)
  • 人間関係で悩んでいる(本音)→気兼ねせずに働ける職場で働きたい→自分のライフスタイルにあった環境の職場で働きたい(建前)

嘘をつくのではなく、本音の伝え方を変えるのです。
本当の理由の表現の仕方を変えてポジティブな考えとして、伝えるようにしましょう。これは、転職活動の面接時に、退職理由を聞かれたときにも有効です。

理由を言いたくない、言わないで辞めても良い?

会社に退職理由を言いたくないと思う方もいるでしょう。しかし、退職理由を伝えずに黙って辞めてしまうと今までの信頼関係が崩れてしまい、誠意も伝わりませんし、会社に残る人たちは、裏切られたような気持ちになり、円満退社ではなくなってしまう可能性もあります。

職場の人間関係や、上司との関係など、正直に伝えづらい理由の場合にも、適した伝え方はあります。黙って辞めてしまうのではなく、これまでの教育や協力に謝意を述べて、きちんと退職する旨を伝えましょう。

ケース別の退職理由の伝え方


退職理由には、ライフステージの変化によるプライベートな理由や、職場環境、仕事内容など職場が理由の場合があります。まずは、プライベートな理由で多いものを3つ、伝え方のポイントとともにご紹介します。

体調不良・病気が理由で退職したい時の伝え方

体調不良や病気が理由で勤務することが難しいという場合は、しっかりと現状を伝えることが重要です。一時的に治療に専念したいのであれば、会社によっては、退職ではなく休職や嘱託での勤務を提案してくれるかもしれません。

職場環境が理由の体調不良の場合など、そのまま伝えることがためらわれる場合は、「退職して治療に専念したい」と、退職の意志を伝えましょう。
義務ではありませんが、事前に医師の診断書を用意しておくと、深刻さが相手にも伝わりやすいので、スムーズに話が進むでしょう。

結婚、子供(妊娠、不妊治療)が理由で仕事が続けられなくなった場合

女性のライフステージに関連する退職理由として、「結婚」や「妊娠」「不妊治療に専念するため」などが挙げられます。結婚の場合は、ある程度事前にわかることも多いので、後任の人材確保や引き継ぎのことも考慮してできるだけ早めに申し出るようにしましょう。

妊娠・出産や不妊治療で仕事が続けられなくなった場合は、「育児・家庭に専念したい」、「家族との話し合いで決めた」など、なぜ仕事が続けられないのかを説明することがポイントです。

妊娠中は、妊娠悪阻や切迫早産など思わぬトラブルが発生することも考えられます。そのような突然のトラブルで退職が早まるということも考慮し、安定期に入ったら早めの報告、引き継ぎを考慮しておくと良いでしょう。

親の介護や配偶者の状況といった、家族や家庭の事情

親の介護や配偶者の転勤など家庭の事情で退職することもあるでしょう。この場合は、上司との信頼関係にもよりますが、可能な限りそのまま事実を伝えるのが良いでしょう。そうすることで、本人が希望すれば、休職や時短勤務など仕事が続けられるように会社が配慮してくれることもあるかもしれません。

しかし、詳細は話したくないということであれば、「家庭の事情により家族と相談して、退職を決めた」というような、伝えられる範囲で話をしましょう。

退職する際に多い理由とは?

会社のことが原因で辞める理由には、人間関係、職場環境、自己都合などが上位に挙がってくるようです。人間関係や職場環境など会社に対する不満が原因の場合は、そのまま伝えることは避け、うまくプラスにとれるものに変えて伝えてみましょう。

上司や職場の人間関係が辛い

上司と合わないなど職場の人間関係が辛いということで退職する方も多いようです。
職場の人間関係は、仕事を円滑に楽しくできるかどうかに大きく影響を与えるもので、悪化すると多大なストレスを感じてしまうことになります。

退職の話をする際には、人間関係の辛さを伝えるよりも、例えば「新しいことにチャレンジしたい」など目指している次のことに焦点をあてると良いでしょう。前向きな伝え方で話すことで強い引き止めや説得を回避しやすくなります。

仕事の内容が合わない、思っていたのと違った

仕事をしていく中で、「自分には合っていないのでは」、「自分がやりたいと思っていたものではなかった」など、自分の考えと実際の仕事内容のギャップに悩み、退職を考える人もいます。

このようなケースでは、そのまま「思っていた仕事と違った」「入社前に聞いていたのと違う」という理由を伝えても、「今後できるようになる」「どんな仕事も、そんなもの」と引き留めに合うかもしれません。

退職を決意したのであれば、「資格や経験を生かした仕事に就いてキャリアアップしたい」など、自分が何をやりたいのかを洗い出し、やりたい仕事を求めて新しい環境を目指すという意志を伝えると認めてもらいやすくなるかもしれません。

給料が安い、人手不足など、待遇に不満を感じている

給料が安かったり、人手が足りずに激務だったりと待遇に不満を感じて退職を考える人も多くいるでしょう。給料や年間休日数、残業時間などは仕事をしていく中でのモチベーションにも影響します。

この場合も「残業が多いから」「給料が安いから」ではなく、今より良い条件で働くためにどんな仕事に転職するのか、何がやりたいのか、ということに焦点をあてて、「家族との時間を持てる環境で仕事をしたいため」「子供の将来を考え、収入を上げる必要があるため」など具体的に内容を伝えられるようにすると良いでしょう。

引っ越し、転勤を理由に退職する

家庭の都合での引っ越しや転勤によって退職が必要となる場合もあります。引っ越しの場合は、家庭の事情などやむを得ない理由を正直に話すと納得してくれるでしょう。

転勤が難しく退職を決めた場合も同様に、理由を正直に伝え、辞令が出たら極力早めに、上司に申し出るようにしましょう。

夢を諦めきれない

前々から実はやりたいことがあって、一度は諦めたけれど、やっぱり諦めきれない、ということもあるでしょう。人生一度きりなので自分のやりたいことは諦めずに挑戦したいものです。

このケースでは、「ずっとやりたいと思っていたことにチャレンジしたい」ということを素直に話せば、上司も理解してくれて応援してくれるかもしれません。「現実はそんなに甘くない」と言われてしまうかもしれませんが、夢を諦めないためには、耳に痛いアドバイスもありがたく聞きながらも、意志を貫きましょう。

こちらも急に言い出すのではなく、会社に迷惑をかけないように、引き継ぎのことなども考えて早めに申し出るようにしましょう。

シチュエーション別の悩みとは?


仕事を辞めるといっても、さまざまなシチュエーションが考えられます。それぞれ気を付けたいポイントをおさえて、スムーズに退職できるように準備しましょう。

急に仕事を辞めなければならない時

急病や親の介護など、何らかの予測できないことによって急に退職しなければならないこともあるでしょう。しかし急に辞めることは、人員の確保や手続きにも時間がかかるため、どうしても会社に迷惑がかかってしまいます。

今までお世話になった会社にできるだけ負担をかけないように誠意をもって対応することが重要になります。民法上、退職の意思表示の時期に制限はありませんが、可能な限り早い段階で理由とともに上司に申し出るようにしましょう。

入社1ヶ月、3ヶ月、半年、短期間で辞める時

入社してすぐに「思っていた仕事と違った」、「上司と合わずに人間関係が辛い」など退職を考えることも起こり得ます。この場合も早めに会社に申し出ることがポイントです。

そして、もう一つ大事なことは、たとえ短期間であってもこれまで研修など指導してもらった方々への感謝の気持ちを伝えることです。次にどんなことがやりたいのかということを考えて、前向きな理由とともに感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。

上司との関係が理由の場合、辞める理由を本人にどう伝えればよいか?

上司との人間関係が原因で仕事を辞める場合、退職の話をするのも同じ上司になるので、伝えづらいと感じることもあるでしょう。

直接の原因が上司本人であっても、他の理由と同じように未来に焦点をあてて、次に何をしたいのか、どんな環境でどんな仕事にチャレンジしたいのか、と今の職場ではできないことをプラスに変換して話すと、お互い気まずい思いをすることなく円満に進むでしょう。

上司が忙しい。メールで伝えても良い?

退職の話をする際は、基本的に直接会って顔を見て話をするのが社会人としてのマナーであり、上司が忙しいからといってメールで済ませるのはオススメできません。

話す時間をなかなか取れないようであれば、事前にメールで「お話ししたいことがあるのですが、お時間頂けますでしょうか」などと上司の都合を聞いてアポをとっておくと良いでしょう。

それでもなかなか時間が取れないようであれば、人事に相談して、人事からもアプローチをしてもらい時間をとってもらうか、退社日が決まっても時間が取れないようであれば、書面で退職の意思と指導いただいた謝意を伝え、人事と退職の手続きを進めましょう。

辞める理由の伝え方だけじゃない。円満退社への道

退職理由の伝え方として大事なことは、嘘をつかずに本音と建前をうまく使い分けてきちんと伝えること、そして誠実かつ周りに迷惑をかけないように、引き継ぎなどにも配慮をすることです。

円満退社するためのコツは、退職理由の伝え方だけではありません。退職のタイミングや手続きなど社会人としてのマナーを守り、今までお世話なった会社と、もめる事なく穏やかに退職手続きが進むように、事前にポイントをしっかりと把握して準備しましょう。